手織り(機織り)の手順 −デザインから仕上げまで−
- 4月29日
- 読了時間: 6分

「手織り」「はた織り」と聞くと、織り機で織っているところを思い浮かべるのではないでしょうか?
昔話の鶴の恩返しのトントンカラリの、あのシーンを真っ先にイメージすると思います。
実は「手織り」にはトントンカラリ以外に、大切な工程がたくさんあります。
オリジナルの布地を織るためには糸を準備して織り機に経糸をセットしなければなりません。織り機に経糸をかけて、やっと織り機の前に座って織ることができます。
このページでは、そんな手織りの基本的な工程、手織りのデザインの考え方や織り機の使い方を簡単にご紹介いたします。
手織り初心者さん、手織りを独学で始められたいという方はもちろん、普段見ない手織りの世界を知りたいという方の助けになれたら幸いです。
目次
織のデザイン
織り機にセットした経糸(たていと)と呼ばれる糸に、緯糸(よこいと)と呼ばれる糸が、垂直に交差することで織生地になります。それを踏まえて、
どのような糸を使って織るのか
どのようなサイズ・形状・色柄に仕上げたいのか
経糸緯糸がどのように交差するか(織組織)
経糸と緯糸をどれくらいの密度で並べるか
主にこの4点を考えるのが織り物のデザインです。
例えばバッグの生地を織る!となったら、あまり薄手の布は向いていないのではないでしょうか。それなら擦れに強い糸を選んだり、織地を密にして地厚な布になるように考えてテクスチャーも工夫します。
ショールを織る!となったら今度は肌触りの良さや柔らかさ・使う季節に合わせた防寒性や耐暑性・色味などに重点を置いてデザインを考えます。
仕上げる形態によっては、織り終えて残った経糸の房をどのように処理するか、裁断・縫製することを踏まえてデザインを考える事が必要になります。
目的にあった織物デザインに合わせて糸を選びますが、糸からインスピレーションを受けて織ることもあります。
糸の準備
糸は玉状になったものやコーンに巻かれたもの、糸を輪にして束ねた「綛」の形のものがあります。
綛は糸に余計なテンションをかけない状態で保管できますが、そのままでは使いにくいため綛の糸を「玉巻き」して使いやすい糸玉にします。
正絹などのように滑りやすい糸や細い糸など、糸の種類によっては糸玉にせず、木枠に巻いて使う場合があります。
玉巻きの手順:
ひびろ(糸を束ねている別糸)部分で綛に乱れが無いか確認します。
綛をかせくり器にかけ、かせくり器のカサを広げて糸の輪を張った状態にします。
ひびろと一緒に結びつけてあった糸端の片方を玉巻器にセットし、糸が絡まったりしないよう確認しながら、玉巻器のレバーを回して糸を巻いていきます。
整経
整経とは織物デザインに従って、作りたい布の幅・密度に合わせた本数の経糸を、必要な長さ(織る長さ+α)に整えて準備するための工程です。
使うもの:整経台
整経の詳しい手順はこちらのページをご覧ください。
機かけ
機かけとは、準備した経糸を織り機にセットする一連の工程のことを指します。
機かけの行程を細かく分割してご紹介いたします。
・巻き込み
使うもの:粗筬・綾棒・巻紙
最初に、整経した経糸を男巻きに巻き取ります。
粗筬を使って経糸を織り幅に合わせて均等に広げることで織幅を保ちつつ、経糸を同じテンションで真っ直ぐに巻いていくことができます。
均等に男巻きに巻き取ることによって、織り進む時に男巻きから経糸を送り出して長く織ることが可能になります。
粗筬以外にも仮筬・くし筬を使って織幅に合わせた適切な密度で経糸を巻き込むことができます。
・綜絖通し
使うもの:綜絖通し
綜絖の通し方によって、どのように経糸を開口(経糸が上下に分かれること)するかが決まります。
開口のパターンによって経糸緯糸がどのように交差するかが変わるため、デザイン通りの織組織にするためにはこの綜絖通しの工程が重要になります。
男巻きに巻きこんだ時に手前側に残した経糸を、綾の順番に従って一本ずつ、組織に合わせて間違いのないように綜絖に通していきます。
・筬通し
経糸の間隔(密度)を決める事と、織る時に緯糸を打ち込む事が筬の役割です。
組織に対して適正な密度の筬を織り機の「筬かまち」にセットして、綜絖に通した経糸を順番に筬の目に通していきます。
・織り付け
綜絖と筬に通った経糸を同じテンションにセットして、織り始められる状態にするのが織り付けです。
小分けにした糸の束を、織幅よりもわずかに幅広になるように千巻き(手前側の巻き取り機構)に繋がった棒に結びつけます。
この時、全ての束のテンションが均等になるように注意します。
均等なテンションで経糸をセットできましたら、織り始める前に捨て糸を入れて経糸を整えます。
ハリがある糸を経糸に使う場合は、こちらの動画でご紹介した方法で織り付ける場合もあります。
製織
機かけが終われば、いよいよトントンカラリと織っていく工程に進みます。
使う糸や織組織に合わせて緯糸の密度に注意しながら織っていきます。
使う道具は緯糸の質や太さ、引き揃えの有無などを考えて選びます。
緯糸を入れる際のコツや注意点はこちらのページをご覧ください。
経糸の始末
使うもの:房撚り器など
織り終えた生地を織り機から外します。
出来た生地の使い道に応じて、経糸の糸端を処理します。
経糸の糸端の始末の方法はいくつかありますので、詳しくはこちらのページをご覧ください。
また、経糸だけではなく緯糸も糸の切り替え部分などの余分な糸を始末します。
織り間違えて、想定通りの糸の動きになっていない箇所があったら、洗い仕上げ前のこの段階で修正します。
洗い仕上げ
使うもの:中性洗剤・柔軟剤など
ショールやマフラー・服地のように柔らかい風合いの手織りは、織った後に洗い仕上げをすることを想定して計画を立てます。
織り終えた布を洗い仕上げをすることで糸のテンションが落ち着き、柔らかな仕上がりにすることができます。
洗い仕上げの手順:
織地をぬるま湯(30℃〜40℃程度)に入れ、全体を満遍なく濡らし、中性洗剤を溶かしたぬるま湯で軽く押し洗いして風合いを出します
使用するのがウールなどの獣毛からできた糸の場合、すすいだり柔軟剤を使う時も、同じ温度のぬるま湯を使います。
軽く脱水したら両面をアイロンで軽くプレスして陰干しします。
※タペストリーなどでは、この工程は必要無い場合があります。
このように、一口に「手織り」といっても様々な工程があり、それぞれにちょっとしたコツがあります。
実際に一から織り物をやってみたい!という方には東京アートセンターの手織教室をお勧めいたします。基本からデザインの仕方、応用までご自身のペースに合わせて習得することができます。
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