手織りをする時に、この糸を使うにはどれくらいの筬目を選べば綺麗に織れるんだろう?
などと悩んだことはございませんか?
今回のコラムでは、基本的な、経緯の密度が同程度の平織を例にとって、糸選びのポイントをお伝えします。
目次
経糸に使ってはいけない糸・使いづらい糸を知る
経糸に使ってはいけない、と明確に言えるのは、「1本取りした単糸のスラブヤーン」です。
単糸とは繊維を紡績し、一定の向きに一度撚りをかけただけの糸のことです。
撚りの向きとは逆向きに糸をよじって引っ張ると、糸がほぐれるようにして切れてしまいます。
ストレートな単糸であれば、織っている途中で糸がほぐれてしまうことはあまりありませんが、スラブヤーン(糸が太くなったり細くなったりするよう変化をつけた意匠糸)の単糸の場合、糸の太くなった部分に撚りがほとんどかかっておらず、引っ張られると簡単に切れてしまいます。
単糸のスラブヤーンを使うときは、経糸に使うのは避けて緯糸で楽しみましょう。
また、糸の材質や紡績・撚糸の方法によって切れやすい糸というのがあります。
糸が擦れて切れやすいかも?と不安な場合は、織る前に糸に糊付けをすることで切れやすさが解消されることもあります。
以下の動画を参考に、心配な時はぜひ糊付けをしてみてください。
明確に使ってはいけないとは言えませんが、特に手織り初心者の方が経糸に使うのを避けるべきなのは、「毛足の長い糸」や「強撚糸」です。
「毛足の長い糸」とは、モヘア糸のように、ふわふわとした長い繊維を表面に持つ糸のことです。
この糸を経糸に使うと、表面の繊維同士が絡まって上手く綜絖の開口が開かず、結果として目飛ばしの原因となってしまいます。
特に、何本も連続して毛足の長い糸を経糸にすると、その部分だけ全然開口しない! なんて事になりがちです。
どうしても毛足の長い糸を経糸に使いたい場合は、別の糸を間に入れるなどの工夫をした上で、開口に十分注意して織りましょう。
「強撚糸」とは、普通の糸よりも強く撚りがかかった糸の事です。緯糸に使うとしぼのある縮緬のような生地が織れたりと楽しいのですが、経糸に使う時は注意が必要です。
撚りが強いため、強撚糸の扱いに慣れていないと整経台から外した途端に、撚りが戻り他の糸を巻き込んでしまって解けなくなってしまいます。
その他にも扱う際のコツがありますので、強撚糸を経糸に使う場合には、その特徴をよく勉強してから扱うようにするといいでしょう。
経糸として使いづらい糸は、緯糸で楽しむように計画して楽しみましょう。
糸の太さから適切な筬目を調べる方法
まず何より、適正な密度を探すには試し織りをするのが1番の方法です。
これから紹介する方法は、その試し織りをする時にどんな筬目で織り始めれば良いかを考える目安程度に考えてください。
用意するもの・・・
・経糸に使いたい糸
・ものさし
ものさしに経糸に使いたい糸を巻きつけて、1cmの中に糸が何本並ぶかを調べます。
この時、糸は引っ張らず、ゆったりと巻きつけてください。糸を引っ張りながら巻きつけてしまうと、糸の本来の太さより細く感じられて多く巻きつけてしまいがちです。
特に手織りの糸は、織り上げた後に洗い仕上げをすると糸が少し膨らむものが多いので、
その事も考えに入れておいてください。
巻きつけた糸を隙間無く、しかし糸同士が押し潰し合わない程度の密度に詰めて並べて、
ものさしの目盛り1cmの間に何本あるか数えます。
その本数の6割前後が、その糸で平織を織る場合の適正な筬目の目安です。
例えば1cmに10本隙間なく巻きつけられる糸の場合は6羽/cm程度の筬が適正となります。
ただし、こちらの方法は使いたい糸がストレートな糸の場合のみに使用できる方法です。
ループヤーンなどではこの方法よりももう少し粗い筬目のものが適正になりますし、他にも糸の形状や材質により適正な筬目は変わります。
繰り返しになりますが、適正な密度を探すには試し織りをするのが1番の方法です。
また、東京アートセンターでは販売中の糸の筬目の目安を商品ページに記載しております。
ご参考までにこちらもご覧ください。→東京アートセンター糸販売ページ