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齋藤 朋子

1986 多摩美術大学デザイン科染織卒業

1988 多摩美術大学大学院美術研究科終了

1986 東京アートセンターの講師に就任

1992 全国新人染織展 入選

1994 季刊『美しい着物』誌 春号 アシェット婦人画報社 掲載

2000 『染めと織りと祈り』 立松和平著 アスペクト社 掲載

2000 出版記念展「きもの・染めと織りと祈り」 銀座アートホール

2015 齋藤朋子織工房開設

​東京アートセンター講師

決して楽ではない細かい作業をコツコツとこなし、数々の作品を織り上げていく受講生の皆様をいつも頭の下がる思いで拝見しております。

​織を始められたきっかけの中に、「いつかは機織りがしてみたかったから」という言葉を多く耳に致します。私も含め、単に「織りたい」と思う気持ちになる理由は何故なのかと考えた時、その答えは、一段一段緯糸が積み重なり布に変化する様子を見る時の嬉しさが、心に安らぎを与えてくれるから?など判然としないものでした。つい先日、まだ繭になったばかりの休眠中の蚕から生糸を引く機会がありました。湯の中でスルスルと繊維が解け絹糸として引かれていき、やがて蛾となる為に眠っていたはずの蛹が姿を現し始めるのです。美しい絹糸を得られる喜びとは反対に生命を奪ってしまった罪悪感に苛まれてしまうのでした。

この蛹の姿を見るうちに、自らが吐いた糸に包まれる蚕と、自ら織った布を纏う自分とが同じである様に思え、布を織りたいと云う衝動は、身を守ろうとする生き物の潜在意識に由来しているのではないかと思うに至ったのです。難しいことはさておき、手にすると安堵感の得られる、そんな布を織ることが出来たなら幸せです。

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