若松美佐子先生の個展「さあ これからは・・・」が2021年7月、銀座いりや画廊にて開催されました。
線を織るということをテーマに制作されたという、メインとなっている作品は、見る人によって様々な情景が思い浮ぶ力を持った作品でした。
染の作品や絵画とは違い、織物は経糸と緯糸の制約の中で表現されますが、先生の作品にはそういったある種の不自由さを感じることがなく、伸び伸びと自由に糸が動いているようでした。
その糸に関しても先生のこだわりがあって、古い着物の裂き布を使っていらっしゃいます。
着物というと、私にとっては伝統や国民性など重厚で華やかなものを象徴する完成された存在でした。
しかしそれが一度裂き布という材料へと分解され、また再び織られる事によって、軽やかで新しく、自由なものへと再構成されて新たな価値を示すものになっていることに新鮮な驚きを覚えました。
もし、私が着物というものを知らず今持っているイメージが全くないままに、着物に出会ったとしたら、先生の作品を見た時のような感想を持ったのかも知れない…
ぼんやりとそんなことを考えさせられた展示でした。 (7/9 スタッフレポート)
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